第4・5回 【インタビュー】 ㈱東京義髪整形(アプラン)

第4回 【インタビュー】 ㈱東京義髪整形(アプラン)

08年10月5日のイベント「MFMSオープンミーティング」開催にむけて、参加
していただく団体や企業のみなさんをご紹介します。

今回は、㈱東京義髪整形(アプラン)さんです。
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社名にも使われている「義髪(ぎはつ)」とは、義歯、義足、義眼などと同じ、
医療用の補填物(ほてんぶつ)としてのカツラを指している。株式会社東京義髪
整形(アプラン)では、1928年創立以来、80年にわたり、皮膚科や形成外科の医師
と共同で研究開発を行い、メディカルウィッグ(医療用カツラ)を製造販売して
きた。営業企画部の山崎明子さんにお話を伺う。

●メディカルウィッグ(医療用カツラ)
―「カツラ」と聞くと、やはり「男性が年齢とともに頭が薄くなってきて・・・」
というのをイメージしますが、それとは違うのですか?
山崎:もちろんそういう男性用のカツラも扱っています。ただ、TGSでは、ド
クターからの要請にお応えして、医療用のカツラの開発に力をいれてきま
した。いわゆる男性用のカツラやおしゃれウィッグだけではなく、病気や
ケガなどで頭髪を失った方でも安心してお使いいただける医療用カツラで
す。男性だけではなく、女性やお子様にも対応しています。
―医療用ということで、とくに気をつけている点は?
山崎:治療の状態にあわせて対応できるように作ってありますので、症状が進ん
でも大丈夫です。吟味した自然素材のみ使用し、治療の妨げにならない事
はもちろん、軽く、通気性にも配慮して作っています。デリケートなお肌
にも安心の優しいカツラです。

●お客様に安心してもらうために
「育毛・カツラ業界」は何かとダーティな噂が絶えない。ところが、アプランでは、
業界でも唯一、昨年までに消費者センター等のクレームはゼロだという。
山崎:大変名誉なことだと思っています。私どもは、ドクターと共同で研究開発
を行い、使う方の立場に立って、カツラを提供してきました。原料、生産、
ヘアスタイルを作る技術、すべてにおいて安心していただける会社であり
たいと思っています。
お客様に安心してもらえる会社でありたい。その精神は、Webサイトにもしっか
りとあらわれている。利用者にとって、やはり一番気になるのは「価格」ではな
いだろうか。たしかに、個人差があり、一概には決められないのはわかるが、雲
をつかむような状態で相談に行くのはちょっと怖い。その点、TGSは、サイト
にかなり詳細なシミュレーションを掲載している。あくまでも参考例だが、具体
的な金額がはっきりと提示されていて目安になる。

価格について http://www.aplan-tgs.com/simul/simul.html

今回、サロンとカツラ製造工場を見学させてもらった。メーカーによっては個室
とは言いながら実際はパーテーションで仕切っただけなんていうところもあるよ
うだが、アプランの場合は、しっかりとしている完全な個室だ。お客様がかち合わ
ないような工夫もされているらしい。
さらに工場を見学して、正直おどろいてしまった。毛髪の染色から完成まで、
いったいどれだけの人の手を経ているのか。ほとんどが手作業で、実に丁寧に作
られている。カツラは決して安い買い物ではない。海外旅行や車に匹敵する値段
だ。当事者の経済的負担は大きい。けれども、これほど丁寧に作られているのな
ら、この値段でも納得できる。
さらに、「円形脱毛症.net」というサイトも運営し、病気についても非常にわか
りやすく解説している。これも、「患者様の不安を少しでも取りのぞくお手伝い
がしたい」という企業理念のあらわれだろう。

●企業の使命
―みなさんにメッセージをお願いします
山崎:さまざまな病気やケガによって頭髪を失った方が、できるだけ自然なヘア
スタイルを得ることで不安やストレスから解放されることが企業としての
使命だと考えています。カツラや毛髪に関することならどんな小さなこと
でもかまいませんので、ご相談ください。医療と同等の責任を持って少し
でもやすらぎを得られますよう、全力を尽くします。
実は、アプランは、1975年に「円形脱毛症の子を持つ母親の会(現円形脱毛症を考
える会)」という患者会を発足させ、支援を続けてきた。しかし、会の運営はあ
くまでも会員がメインで、アプランはバックアップに徹している。このあたりから
も企業の心が伝わってくる。
今後も「利用者の視点に立った企業」であり続けてもらいたいと切に願っている。
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㈱東京義髪整形(アプラン) http://www.aplan-tgs.com/
円形脱毛症を考える会(ひどりがもの会) http://www.hidorigamo.com/
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第5回 【インタビュー】円形脱毛症を考える会(ひどりがもの会)
引きつづき、「円形脱毛症を考える会(ひどりがもの会)」をご紹介します。
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前述のとおり、「円形脱毛症を考える会(ひどりがもの会)」は、1975年に「円
形脱毛症の子を持つ母親の会」として、㈱東京義髪整形(アプラン)の支援のもと発
足した当事者団体だ。セミナーを中心に活動を続け、1996年に「円形脱毛症を考
える会」と改称。毎年2回セミナーを開催し(上半期は地方、下半期は東京)、
交流会や医療相談、ヘアスタイルアレンジの体験などを行っている。会報は年6
回発行。
現在会員数は約140名。当事者会員のノブさん(女性)とミッチーさん(男性)
にお話を伺う。

●仲間との出会い
―単刀直入にお聞きしますが、入会してよかった?
ミッチー:よかったです。(入会以前は)絶対的な孤独感でしたから。その孤独
感はすごかった。やっぱり、自分と同じ症状の人と出会えて、人生が
変わりました。
ノブ:会のセミナーで、はじめて脱毛症のメカニズムを知って、すごく納得でき
ました。ああ、こういう病気なんだ、私が悪いわけじゃないんだって。
―自分が悪いと思ってた?
ノブ:うーん、理屈ではそうじゃないってわかってても、神経質すぎるのかなとか、
努力が足りないのかなとか、いろいろ考えちゃう。それで無理して頑張って、
さらにストレスがたまってって。毎日が本当につらかった。はじめてセミ
ナーに参加したとき、みんなに会えて、「ああ、やっと会えた!」って、す
ごくうれしかったんです。初対面でも通じ合える。そんな出会いははじめて
だったから。
―自分と同じような症状の人に会ってみたかった?
ミッチー:会いたい半分、会いたくない半分。会っても仕方がないと思ってたか
ら。他の人たちが自分と違う方法をとっている(注:カツラの価格や
種類など)なんて考えもしなかったし。でも今は、もっと早く出会っ
ていたら、あんなに苦しまなくてすんだのにって思う。
当事者のみなさんに会って話を伺うと、「もっと早く会の存在を知っていたら・
・・」と言う人が多い。同じ症状の仲間と出会い、心の支えが見つけられるだけ
ではなく、日常生活においての具体的なヒントなども得られるようだ。

●仲間との交流
―情報交換なんかもするんですか?
ノブ:セミナーではお医者さんの講演があったり、みんなの体験談を聞いたりで
きるので、いろんな情報を得ることができます。でも、もっとオススメな
のは、セミナー後の飲み会。かなりぶっちゃけた話も聞けるし、本音がど
んどん出てくる。びっくりすることもあるけど、すごくためになります。
ミッチー:内緒だけど、実はすごく安いカツラを使ってる、とかね(笑)
―会員の中にはアプラン製以外のカツラを使ってる人もいる?
ミッチー:います、います(笑)
―その辺、アプランさんの反応は?
ノブ:全然問題なしです。アプランさんは、そういうことには口出ししないですか
ら。あくまでも運営を支援してくれてるだけで、自社製品を使わない人は
ダメなんて、絶対に言いません。会員の中にはカツラを使わずにスキンヘ
ッドのままで生活してる人も結構いますよ。
ミッチー:セミナーについても、自由にやらせてくれてます。オリエンテーショ
ン(当事者同士の交流会)をどういう構成にするかとか。
―セミナーは、毎回、盛況ですよね。
ミッチー:ありがとうございます。いろいろ考えて企画してます。参加してくれ
た人が来て良かったって思ってもらえるように。はじめて参加する人
が、一人で来ても大丈夫なように考えたりとか。結構、大変です(笑)
でも、みんなが喜んでくれればうれしいので。
セミナーは、医師による講演、プロのスタイリストによるカツラのアレンジ実践
やメイク講座、そしてオリエンテーション(当事者同士の交流会)、希望者は別
室での個別医療相談もできる。まさに、当事者が望むことを中心に考えているセ
ミナーだ。この形になるまで試行錯誤を繰り返したとのことだが、非常に良くで
きていると思う。しかも、会場の雰囲気が明るくて、とても楽しめるセミナーだ。
是非、一度参加してみることをオススメする。
ミッチー:でも、やっぱり飲み会が一番楽しいかな。それだけを目当てに来る人
もいるし(笑)
会員のみなさんに会って思うのは、いつも楽しそうだということ。実際はとても
厳しい日常をくぐり抜けてきているはずなのに。「仲間」という存在がそれほど
大きなパワーを産むということなのだろう。
当事者自身が中心となって会を運営していると、困難なことも多々あることと思
う。でも、当事者自身が自分たちの言葉で発信することはとても重要で大きな意
味がある。今後の活動にも注目していきたい。
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円形脱毛症を考える会(ひどりがもの会) http://www.hidorigamo.com/

→第6回 【インタビュー】 アピアランスリハビリセンター

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