「見た目問題」で悩まない      シンポジウムレポート Vol.1

MFMSオープンミーティング in 大阪(2009.11.8)
シンポジウム『「見た目問題」で悩まない。』
【レポート Vol.1】

09.11.08mfms-event<パネリスト>
相本由利子さん(全頭型脱毛症)
円形脱毛症を考える会(ひどりがもの会)会員

氏家志穂さん(血管腫)
痣と共に生きる会 Fu*clover(フクローバー)代表

野中孝夫さん(尋常性白斑)
痣と共に生きる会 Fu*clover(フクローバー)副代表

ヤブモト マイさん(アルビノ)
アルビノ・ドーナツの会代表

西倉実季さん
東京大学大学院経済学研究科特任研究員
著書『顔にあざのある女性たち―「問題経験の語り」の社会学』

 
<ファシリテーター>
外川浩子:マイフェイス・マイスタイル代表

<司会>
粕谷幸司さん(アルビノ):日本アルビニズムネットワーク・スタッフ

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今回のシンポジウムのテーマは、ズバリ『「見た目問題」で悩まない。』
外見が重視される現代社会で、「見た目問題」で悩まずに生きていくためのヒントを、パネリストのみなさんにお話ししてもらおうというねらいだが、果たして・・・。

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相本:  症状が出たのは15年くらい前です。最初は500円玉くらいのハゲが1つできて、それは治ったんですけど、もう1つ反対側にできて、そのうちにもう1つできて、2つがつながるようになって、そこから一気に2ヶ月くらいで全部抜けてしまいました。それ以来、少し生えては抜け、生えては抜けで、生えそろったことはありません。

野中:  僕は高校生のころ、口のまわりに小豆大くらいの白斑ができて、それがだんだん広がっていったんですけど、自分で見えない部分にもできるので人から指摘されて気づくことも多くて。

外川:  生活は変わりましたか?

相本:  外出が困難になりましたね。人に会うのが怖くなった。カツラを作ろうにもどこへ行ったらいいかわからなかった。結局、カツラは作ったんですけど、2,3年は必要最小限の外出しかしませんでした。

野中:  5,6年ひきこもりました。もう高校生でしたから友人関係はできていたので、白斑でいじめられることはなかったけど、卒業式の日、あるクラスメイトがわざわざ目の前に来て、「お前の顔、ホンマきしょい(=気持ち悪い)なあ」って言われたことが、のちのちトラウマになったというか。高校を卒業して予備校に入ったけど、遠巻きに見られてる感じで、人間関係がうまく作れなかった。なんとか1年くらいは頑張ったけど、息が切れてバタッと倒れるようにひきこもりになりました。

外川:  今はこうしてみなさんの前でお話しをされてますけど、ひきこもりから、もう一度、表(おもて)に出るようになったきっかけのようなものはあったんですか?

野中:  カウンセリングに行ったりして少しずつは外に出てましたけど、ある日、新聞でアザをカバーするメイクがあるってことを知って、メイクをすることで出られるようになりました。

相本:  私は以前勤めていたところからアルバイトに来ないかと誘ってもらって。それでカツラをつけて仕事に行くようになりましたね。

外川:  なるほど。お二人ともメイクやカツラを利用して、症状がわからないようにすることで外に出られるようになったわけですね。
 
 

◆みんなとは違う

 
 
外川:  ヤブモトさんと氏家さんは生まれたときからの症状ですが、自分はまわりの人たちとは違うと意識したのはいつですか?

ヤブモト:  私は生まれたときからこう(=肌も髪も白い)なので、あらためてまわりと違うと気づいたというよりも、ずっと小さいときから感じていました。

氏家:  私は中学のときですね。中学に入っていじめられたんですよ、アザのことで。そのときに初めて、ああそういえばアザがあるんやなあと。小学校のときは何も言われなかったので意識しなかったです。

外川:  アザをメイクで隠そうとはしなかった?

氏家:  そっち(=メイクで隠す)の方へは逃げないで、違う方に逃げた。

外川
:  違う方に逃げる?

氏家:  そう。暴走族に入っちゃった(笑)

外川:  それはまた(笑) でも、どうして暴走族に?

氏家:  死のうと思って、ふらふらと知らない街を歩いてたら声をかけられて。
 
 

           氏家さんは中学生のころ、アザのことでいじめにあい不登校になったという。
           白斑の野中さんも5,6年ひきこもり、全頭型の脱毛症になった相本さんは
           人に会うのが怖くなって、外出も必要最小限に。アルビノのヤブモトさんも
           悩み傷つき、外に出て行けない時期があったという。そしていつまたそうなっ
           てもおかしくないと思っている。
           「見た目」が“普通の顔”の人たちと違うということは、本人にとってどれほど
           重く厳しいことなのだろうか。
 
 
西倉:  個人差はありますが、まわりと違うということは自信を失うことにつながります。自尊感情(=自分自身の存在を価値あるものとして評価し信頼すること)も低くなりがちです。とくに先天性(=生まれつき)の方は非常に小さいうちから自分だけが違うという意識があります。また、本人も病気のことを詳しくわかっているわけではないですし、親もきちんと教えてくれないので、友だちやまわりの人たちに上手く説明することができません。いじめられることが多いのも事実です。

           「見た目」が違うということで、学校や職場で人間関係を築くことが難しいと
           いう。もし、そのまま周囲の理解を得られず、自分と同じような症状の人とも
           出会えなければ、絶望的な孤独感を持ち続けるということなのか。
           もっとも身近な存在である家族との関係はどうなのだろう。「家族」という非常
           にプライベート性が高くデリケートな部分だが、パネリストのみなさんに
           率直に尋ねてみた。
 
 
 
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