ゴタゴタしているんだなって シンポジウムレポート Vol.2
MFMSオープンミーティング in 大阪(2009.11.8)
シンポジウム『「見た目問題」で悩まない。』
【レポート Vol.2】
◆親子関係、家族関係
ヤブモト: 私が生まれて家族の環境は変わりました。私が生まれたことが発端で、たとえば両親の関係が悪化したとか、意識せずとも感じていました。私がいることでゴタゴタしているんだなって。生まれたときからずっと。ただ、身内に学校関係者がいたということもあって、小学校に入学する前から学校側と話し合ってくれたりしました。そのおかげで、学校でいじめられたり嫌な思いをすることはなかったです。
氏家: 私の場合は、生まれたときはいろいろ思ったでしょうけど、家族は何でも私に話してくれるし、私も何でも話します。不登校になって、暴走族に入ったときも、ずっと家族を信じてたし、家族も私を信じてくれてた。
外川: 学校に行けなくなったとき、家族の反応は?
氏家: 学校に行けるように、ものすごく努力してくれたんですよ。でも、先生がダメでした。だから暴走族に逃げてしまったけど、家族はずっと信じてくれてました。
野中: (どうして白斑になったのかという)原因探しですごくしんどい(=つらい)ときがあって、「親が悪いんか」とか、「自分が何かしたからなったのか」とか。でも、しんどい時期を家族が支えてくれたから今がある。
相本: 脱毛で主人との関係が変わったことは微塵もない。息子は生まれたときから母親はハゲてますから、それが普通というか。家族の存在は大きいですね。だけどまあ、主婦の方はみなさんそうだと思いますけど、たまにはひとりでゆっくりしたいなあと(笑)
外川: みなさん、ご家族の存在が大きな支えになっているようですが、他の当事者の方々はどうなんでしょうか。
西倉: 家族関係がうまくいってない人も多いですね。とくに親戚から母親が責められる傾向にあります。また、親が自分自身を責めることも。親が苦しんでるのがわかるので、本人もつらいことを親に言わない。そして、家族の中で「見た目」について話すことがタブーになっていくんです。
ヤブモト: うちも母が責められていました。実は、大人になってから、本当に母が悪かったのかどうか調べたことがあって、原因はそこにはないことがわかったんです。でも、私が母の立場だったら自分を責め続けたと思うし、相談することもできなくてしんどかったと思う。
外川: だから「ドーナツの会」ではどんな些細なことでも相談を受け付けてるんですね。
ヤブモト: はい。「この子を育てる自信がない」って思い詰めてしまう気持ちも、今はわかります。
西倉: 問題は、当事者のケアがこれまで家族だけに任されてきたということです。当事者団体や支援団体、行政、教育機関といった家族以外の支えが絶対に必要です。
アンケートにも、ある当事者の母親が「(症状のある体に産んで)
本当に申し訳ない気持ちで、日々接しています。子育て中は
他の家族ともども、さりげなく無関心を装っていました」と書いている。
聞きたいことはまだまだあるが、時間の制約もあり、 シンポジウムは
後半に突入。後半は会場からの質問にパネリストが返答するという形。
けっして気軽に話せるようなテーマではないので黙り込んでしまうの
ではないかと心配していたが、実際は会場から自発的に手があがった。
パネリストのみなさんが心の内を話してくれた勇気に会場も応えて
くれたのだと思う。ここからは、司会の粕谷幸司さん(アルビノ)にも
加わってもらった。