小学校で講演しました

7月8日(月)、千代田区立昌平小学校で、4,5,6年生を対象とした講演を行いました。

メルマガにも書きましたが、小学生だからこそ、非常に気を付けたことがあります。それは…

 いじめてはいけない。バカにしてはいけない。そう伝えることは大切だと思いますが、何しろ、相手は子どもです。ともすると「触れてはいけないこと」というイメージを子どもたちに植え付けかねない。それでは「見た目問題」の解決には遠くなってしまいます。  《大人の「見た目問題」学級新聞/第53号》

…ということもあって、これまでとは少々違ったスタイルで講演してきました。

たいてい、だれか当事者さんとペアを組んで講演することが多いのですが、今回は、“写真パネル”で当事者さんたちを紹介しました。
会場は、講堂。
ステージ上に写真パネルを4枚ならべ、「今日は、私の友だちを4人紹介します」と、ひとりひとりの症状やエピソードを、子どもたちに話して聞かせました。脱毛症のノブちゃん、リンパ管腫のノリさん、トリーチャーコリンズ症候群のヨウヘイくん、そして脱毛症のリンタロウくんです。

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難しいものもありますが、子どもたちには正式な病名を教えました。4人のみなさんを、症状の説明とともに、それぞれの生き方や今の姿を伝えました。

ただ一方的に話すだけではなく、子どもたちに質問を投げかけてもみました。
でも、先生やクラスメイトたちを気にして、誰も手を挙げてくれないかもしれない。そんな不安もありましたが、思い切って尋ねてみました。

「この女性は、ノブさん。この写真を見て、気づいたことを教えてください」

すると、想像に反して、たくさんの手が挙がり、次々と答えてくれました。

「女の人」
「かわいい」
「笑ってる」
「髪の毛が、ない!」

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あまりにもすんなり「髪の毛がない」という答えが返ってきて、少々拍子抜けしたくらいです。

「そう、髪の毛がないの。じゃあ、どうして髪の毛がないと思いますか?」
すると、またも次々と手があがります。

「病気」
「ヤケドしちゃった」
「薬をのんだ」
「ガンになっちゃった」

そこで、脱毛症という症状のことを話し、発症したときのことや職場でのいじめ、仲間との出会い、恋愛、結婚、そして、この写真は結婚式の当日で、ウェディングドレスを着ているところなんだと、そんなエピソードを語りました。

そんなふうに、リンパ管腫のノリさん、トリーチャーコリンズ症候群のヨウヘイくんも紹介しました。
子どもたちは、とても熱心に話を聞いてくれます。

最後に、脱毛症のリンタロウくんを紹介しました。
「リンタロウくんは、10歳。キミたちとちょうど同じです。今、彼は学校に行っていません。なぜ彼が学校に行かないのか、みんなに考えてほしいんです。」

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私が子どもたちに伝えたかったのは、「見た目」に症状があっても、みんなと同じように恋をしたり、スポーツを楽しんだり、仕事を頑張ったり、結婚したりする。みんなと同じなんだということでした。
「見た目問題」当事者たちのおかれている現状は厳しく、そのことを包み隠さず子どもたちに伝えることも大切だと思います。
だけど、「見た目」が違うからといっていじめたり、からかったりしないで下さいというメッセージを伝えるだけではなく、当事者を身近な存在として感じてもらえるような、そんな思いを込めて講演を行ってきました。

ところで、今回の講演は、前半は子どもたち向け、後半は親御さん向けというものでした。
親御さんたちは前半も子どもたちと一緒に公聴して、後半は親御さんだけが残る、という形式。どうやら、最近はそういう形の講演は珍しくないようですが、とても良いと思います。講演で聞いただけで終わり、ではなく、家庭でも話題にすることがとても大切だからです。
「今日、感じたこと、考えたことを、ぜひご家庭でも話してみてください。そして、もし、そういう子がクラスにいたらどうしたらいいのか、一緒に考えてみてください」と、親御さんたちには伝えました。
きっと、ご家庭でも話してくれたことと思います。

「見た目問題」を解決するために、これからの未来を担う子どもたちに知ってもらうことは、とても重要です。
今後も、教育関係のみなさんのご理解・ご協力を頂きながら、学校への講演を、積極的に広めていきたいと考えています。

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