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Vol.02 「恋愛」と「コンプレックス」

2010年1月4日

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「恋愛」と「コンプレックス」 (吉田秋生・中原俊の 『桜の園』 について)

前回は、橋本治の『恋愛論』を紹介したけど、話の流れで今回は女の人が描い
た同性愛から。私は女の人向けのマンガって読まないんだけど唯一読んでるのが
吉田秋生で。まあ、少女マンガには同性愛扱った作品は多いと思うけど、吉田秋
生の作品にもしょっちゅう出てくる。『カリフォルニア物語』『桜の園』『BA
NANAFISH』『ラヴァーズ・キス』・・。他の少女マンガ家が、どんな風
に同性愛を描いてるのか知らないけど、吉田秋生が描く理由ははっきりしてる。
それが「叶わぬ恋」だから。(書いてて恥ずかしいですよ、もちろん)

でもこれは本当。吉田秋生のマンガじゃ、男→男でも女→女でも相手はそんな
気サラサラないってパターンなんだ。大体好きになっちゃう方も、別に同性しか
好きになれないわけじゃなく、「その人」だからこそ好きになったってのが殆ど
だし。だから本人もドキドキして戸惑って、ようやく決心して打ち明けても決し
て報われない。だからこそ「切ない話」になる。だからこそ取り入れる、と。

今の中学生・高校生の現状(惨状?)見れば、「純で切ないラブストーリー」な
んて描けないでしょ。いや、描こうと思えば描けるかもしれないけど、リアルに
するのはかなり難しい。『ラヴァーズ・キス』読めばわかるよ。『ラヴァーズ・
キス』ってさ、主役の男女はすぐに肉体関係もっちゃうんだ。で、主役の男を好
きな男、主役の女を好きな女がでてきて、こっちは同性愛だから告白すらできな
いのね。

昔の少女マンガだったらさ、主役の男女がくっつくまでにあーだこーだあって
さ、そこでストーリーを盛り上げられたんだけど、今やそんなまどっろこしいこ
としてる高校生はかなり少数でしょ。ましてや『ラヴァーズ・キス』の主人公の
男は不良って設定だし。だから吉田秋生はリアリティもたせるために、主役にす
ぐに肉体関係もたせて(それも相思相愛の状態じゃないし)、その後に話が始ま
る。これももう10年前の作品だけど。

『ラヴァーズ・キス』のこと書いてきたけど、実は吉田秋生の作品の中じゃそ
んなに好きじゃないんだ。一番好きなのは、『BANANAFISH』と『河よ
りも長くゆるやかに』でさ。両方とも男が主役なんだけど、吉田秋生って男描く
の上手いよね、『河よりも~』は男子校の高校生が主役なんだけど、ほんとあの
まんまだよ、昔の男子校(&男子校生)って。男子校に通ってたのかよ! って
三村調でツッコミたくなるぐらいよく描けてる。

だから多分、女子高も『桜の園』のまんまだったんじゃないかと思うんだ。
『桜の園』の舞台は女子高で、そこの演劇部員たちが主役。その女子高じゃ卒業
前に毎年チェーホフの「桜の園」を上演するのが慣わしで、その上演前までの話。
後に中原俊が映画化する。

マンガ版『桜の園』だと、映画で白島靖代が演じたコは背が高くて男っぽくて、
女子高の演劇部だから男役ばっかりやらされてるっていう設定なのね。本人はそ
れにコンプレックスを持っていて、「もっと女らしくなりたい」って思ってる。

私は逆で、中学時代背が低くて、卒業するまでずっと前から二、三番目だった。
中学の時は、自分では「そのことは意識してない、関係ない」って思ってたけど、
<「そのことは意識してない」と思う>なんてのはあり得ないわけで。その後歳
を重ねるごとに、本当に意識することなくなったけど。思春期って、見た目を過
剰に意識するから。恋愛のいいところは、相手に受け入れられていくことでコン
プレックスが少しづつ解消されていくってことでさ。

私は原作と映画観たときって、大体原作のほうが好きなんだけど、この作品に
限っては映画の中原俊版『桜の園』の方が好きで。ひょっとしたら映画のほうを
先に見たのかも。かなり昔のことだからどっちが先かもう覚えてない。

映画も原作からそんなには変っていない。当然でてくるのは女ばっかり。ただ、
映画版のほうが(中原俊の趣味もあってか)同性愛的な描写が多かった気がする。
といってもここで描かれる同性愛は、あくまで女子高っていう特殊な場の空気に
よるものだけど。私はこの映画で白島靖代とつみきみほが好きになったんだけど、
その後どうしたのかな・・・、二人とも全然見ない。つみきみほなんて、この映
画観るまで、どっちかといえば嫌いだったんだけどね。

ただ、この映画の公開が1990年、原作は1985年だから今観る(読む)と古臭い部
分はあるかもしれない。『ラヴァーズ・キス』の更に5年前、10年前だからね。

(了)

→Vol.03 巨人の描いた「見た目」と「差別」 -前編-

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